新型コロナ感染症・後遺症の記事

2021/05/02更新

新型コロナ後遺症の治療

新型コロナ後遺症の治療

上咽頭擦過治療(EAT、Bスポット療法)

新型コロナ後遺症では上咽頭(鼻とのどの間の部分)に炎症を起こしてしまっていることがかなりの頻度で起きています。
この部分を治療するのが上咽頭擦過治療(以下EAT)、および鼻うがいです。
特に「煙臭い、焦げ臭い」といった症状がある場合には、ほぼ間違いなく上咽頭に炎症があります。
EATの概要は下記の通りです。

  • 一部の耳鼻科(ごくまれに内科、精神科)で行われている治療
  • 50~60年前から広く行われており、非常に安全性が高い
  • 保険適応の治療で、非常に安価(安価すぎて、施行して下さる医療機関が少ないのが問題)
  • 初回は強い痛みがあることが多い(2回目以降から楽になることが多い)
  • してくださる先生の技量の差が出ることがある
  • 週に1~2回(できれば2回)、繰り返し施行する必要がある

慢性上咽頭炎、上咽頭擦過治療についての詳細は日本病巣疾患研究会のページをご覧ください

新型コロナ後遺症の治療は、EATなしで語ることはできません。
施行している方は施行していない方に比べて、明らかに改善しやすい傾向があります。

EATによって改善する可能性がある症状

  • 倦怠感
  • 発熱
  • 頭痛
  • 身体の痛み
  • 息苦しさ
  • 動悸
  • 思考力の低下
  • 嗅覚障害

    • 特に「煙臭い、焦げ臭い」という症状ほぼ確実に治ります
  • 味覚障害

EATを受けられる医療機関の探し方

医院のホームページに書いておられない耳鼻科も多いほか、コロナ後にEATの受け入れを中止している耳鼻科もあるため、電話で直接お問い合わせされることをお勧めしています。
(ホームページをお持ちでない医療機関でEATをしてくださることも多いです。)
また、特に調子が悪い間は遠くの医療機関より、近くの医療機関に頻繁に行かれる方が良いことも多いため、自宅から近い耳鼻科から順にお問い合わせいただくのが良いと考えています。

クラッシュが怖くて受診できない場合

外出の負荷や痛みでクラッシュしてしまいそうで怖いという方もいらっしゃるかと思います。
基本的にはクラッシュは絶対に避けるべき症状なのですが、EATだけは例外です。
たとえ軽いクラッシュを起こしたとしても、受ける価値があります。
(もちろん、可能な限り体調を整えて、できるだけクラッシュを起こさないようにした方が良いです。)


鼻うがい

新型コロナ後遺症の患者さんには、鼻うがいをオススメしています。
基本は1日2回。
EATを行っている場合でも、鼻うがいを併用することをオススメします。

近所にEATを施行してくれる医療機関がない地域の方は特に、まずは鼻うがいをしっかりされることをお勧めします。

鼻うがいの製品例

堀田先生の本もお勧めです。
ウイルスを寄せつけない! 痛くない鼻うがい


漢方

当院では、漢方を併用することで症状の改善に役立てています。
コロナ後遺症に対する漢方の特徴は以下の通り。

  • 症状の改善は十分期待できる
  • その方のその時の状態に合わせて薬を使う
  • 合う薬が見つかるまでいくつか試すため、時間がかかることがよくある
  • 保険適応であれば比較的安い(当院は保険適応のエキス剤のみ処方しています)
  • 粉薬が苦手な場合は、オブラートや服薬用のゼリーなどを使うと良い
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BCAA

  • 必須アミノ酸であるバリン・ロイシン・イソロイシンの総称。
  • 運動時の筋肉のエネルギー源
  • 筋肉の蛋白質に非常に多く含まれている
  • PEMがあってもなくても、BCAAは効くことが多い

製品紹介

  • アミノバイタルアクティブファイン

    • 手に入りやすく、値段と味がそこそこ
    • 濃い目に溶かして飲んでいる人が多いです
  • アミノバリュー

    • 仕事や勉強、作業をしながら飲むのに向いている
    • 無色透明なので、ラベルをはがせば水に見える
    • 添加物が少ないので化学物質過敏症の方でも飲める場合がある

比較的高価なので、海外製のものをチョイスされる方もいらっしゃいますが、それでもまったく問題ありません。
添加物が苦手な場合は、無添加のものを利用することを検討してください。

使い方

  • アミノバイタルアクティブファインは1日3本を目安に飲んでいただきます。(もっと飲んでも大丈夫です)
  • 動いた直後・頭を使った直後・体が痛むときなどに使うと効果的です。
  • すぐに効果を実感される方も多いですが、長期間飲まないと効果が分からない方もおられます。

BCAAが効く症状

  • 倦怠感
  • 筋肉痛
  • ブレインフォグ(思考力の低下、集中力の低下、記憶力の低下、頭に霧がかかったような感じなど)
  • 筋肉のピクつき
  • 血管痛

プロテイン

海外のコロナ後遺症外来では、プロテインが推奨されていることがあります。
BCAAと同じく筋肉関連の症状には効くことがあるほか、適切に摂取することで筋肉量の維持・増加にも効果が期待できます。


亜鉛のサプリ

  • 当院では、脱毛・嗅覚障害・味覚障害のいずれかがある患者さんに勧めていますが、倦怠感に効く方もいらっしゃるようです
  • 安いので使いやすい
  • ネイチャーメイド亜鉛 1錠10mgで用量調節がしやすいのでこれをお勧めすることが多いですが、他のものでも構いません
  • 本来は採血で血液中の亜鉛のレベルを測りながら使いたいけれども、10~30mg/日で飲む分にはまず問題ないものと思います

コエンザイムQ10

  • 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)でも一応のエビデンスがある
  • 使うならカネカ社製のものを200mg/日で摂るといいらしい
  • 劇的に効いたという患者さんはあまりいない印象
  • 高いので続けにくい

体を温める方法

体を温める治療法も試す価値があります。
(合わない方もいらっしゃると思いますので、少しずつ試すようにして、合わなければ避けてください。)

和温(Waon)療法

非常に有名な治療法で、慢性心不全、ME/CFSなどで多数の論文があります。
施行している施設まで行かなければいけないのが最大の難点。(自宅での簡易的なやり方は下記の通り)
合わない方もいらっしゃいます。

  • 急性心不全を防ぐ入浴法「和温療法」の効果とやり方|ケンカツ 自宅でのやり方が書かれています。概略は下記の通り。

    • 脱衣所をしっかり温める
    • 41度のお湯を張り、半身浴または体を伸ばして10分つかる
    • 肩が冷えるようならタオルをかける
    • お風呂から出たらすぐに毛布などで体を30分温めて休む
    • のどの渇きを潤す程度に水を飲む

ペットボトル温灸

湯たんぽ

  • 治療 Vol.89, No.1 2007.1の班目先生の論文を参照しました。
  • 朝起きた時に脇の下に手を挟んで温めた後、腹部、おしり、太ももの前側、腕の外側を触って、冷たいところがあったらそこが冷えていると判断して、その部分を重点的に湯たんぽで温めると良いとのこと。
  • 寝る時だけではなく、朝から使うのが良い
  • 汗をかくと冷えてしまうので、汗をかかないように使うのがポイント
  • お尻を温めるには、イスの背もたれに置いて、腰からお尻を温めるようにするのが良いとのこと
  • 3週間でPSが5→2に改善した患者さんもおられるとのこと
  • 「首のスジを押す」と超健康になる|班目健夫 この本に詳細が載っています。ME/CFSの治癒率云々の部分と、実際受診した時の料金が高いのがアレなんですが、内容は大変参考になります。

湯たんぽ関連商品

昔ながらの湯たんぽが一番というお声も多いですが、お手軽に使えるものもご紹介します。


鍼灸

鍼灸の流派にもいろいろあり、相性もあるので、自分に合うところを探さないといけないのが難点ですが、効いたという方はたくさんおられます。
ただ、普通に鍼を打つと強すぎてしまう事が多いようですので、その点は鍼灸師の先生に伝えるようにしてください。
置き鍼・せんねん灸太陽で治療できる場合も少なくないようです。
保険で施行するための同意書が必要であれば、当院にご依頼ください。


遠絡療法

  • 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労(ME/CFS) の治療としても広く行われているようです。施行できる施設は限られますし、自費診療になるので高額になりがちですが、効果はあるようです
  • 治療との相性、先生との相性はある

rTMS(TMS)

  • とても高価なことが多いのと、受けられる施設が限られているのが難点。
  • 副作用は少ない様子。

ここに挙げたもの以外にも効くものがありそうなので、今後研究を進めていきます。