
【新型コロナ】意外に多い消化器症状
文責: 平畑 光一
####論文
Gastrointestinal Manifestations of SARS-CoV-2 Infection and Virus Load in Fecal Samples from the Hong Kong Cohort and Systematic Review and Meta-analysis
Ka Shing Cheung et al.
Gastroenterology. 2020 Apr 3;S0016-5085(20)30448-0. doi: 10.1053/j.gastro.2020.03.065. Online ahead of print.
https://www.gastrojournal.org/article/S0016-5085(20)30448-0/pdf
香港の研究者がまとめたデータ、メタアナリシスの結果をまとめた論文です。
####香港の患者のデータ
対象:新型コロナ感染症(COVID-19)の患者59人
25.4%の患者で消化器症状あり
下痢:22.0%
腹痛・違和感:11.9%
便のRNA検査で陽性になったのは15.3%
下痢のある患者で便のRNA検査が陽性になったのは38.5%
下痢がない患者で便のRNA検査が陽性になったのは8.7%
全員発熱はあったが、53.5%は咳がなかった
####メタアナリシス
60の研究結果のメタアナリシス
17.6%の患者で消化器症状あり
そのうち26.8%が食欲不振
12.5%が下痢
10.2%が嘔吐・悪心
9.2%が腹痛・違和感
####コメント
意外に咳がない、消化器症状だけの患者さんも多いようです。
日本では消化器症状の患者は少ないとされていますが、実は把握されていないだけなのかもしれません。
当院でもオンライン診療を用いて、長引く軽症の消化器症状の患者さんに対して漢方薬・西洋医学の薬の処方、生活療法指導を行っています。
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オンライン診療について
新型コロナウイルス感染拡大に伴って、オンライン診療の規制が一時的に緩められており、初診でも薬が処方できるようになっています。
ただ、紹介状などがない限り、7日分しか処方ができない規則となっています。
実際には、1週間ごとに薬の変更を検討した方がよいことが多いため、あまり問題になることはないように感じています。
薬は自宅近くの薬局で受け取れるため、物理的な距離が問題にならないのはとても良い点です。
当院でも、全国の微熱の患者さんをオンライン診療で診察しています。