
新型コロナでは腎機能障害に注意
文責: 積山 慧美里
Renal involvement and early prognosis in patients with COVID-19 pneumonia.
G. Pei, et. al.
J Am Soc Nephrol, April 28 (online), 2020.
DOI: https://doi.org/10.1681/ASN.2020030276
背景
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者ではしばし腎障害を合併する事があり、剖検症例においても認められている。
一方で、血尿・蛋白尿・急性腎障害(AKI)などを合併した患者の臨床的特徴はあまり知られていない。
解析方法
中国の単施設の後ろ向き研究を用い、COVID-19患者333人のデータを対象とした。それらの臨床像・検査所見・画像所見と腎機能予後について解析した。
結果
333人中251人(75.4%)に尿検査異常かAKIを認めた。
198人の腎障害改善の中央値は12日であり、118人(59.6%)がこの期間に肺炎が改善、111人(68.5%)がこの期間に蛋白尿が改善した。
35人がAKIを合併したが、内16人(45.7%)は腎機能が完全回復した。AKIの大部分は内因的な要素であったと考えられた。
腎障害を合併した患者は合併しない患者と比較し、死亡率が高かった。(28人(11.2%) vs 1人(1.2%))
多変量回帰解析では、「肺炎の重症度」が蛋白尿や血尿の改善・AKIからの回復の低いオッズ比と、最も一般的に関連する危険因子であった。
結論
腎障害は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の主な合併症の1つです。
血尿・蛋白尿・AKIは発症から多くの場合3週間以内に改善するが、腎障害は死亡率上昇にも寄与します。
超軽症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)疑い症例については、あまり心配はないものと考えられますが、尿検査はリスクのない安全な検査なので、念のため検査をしても良いかもしれません。 当院外来で検査をすることもできますし、テルモさんの尿検査キットなどを利用されても良いと思います。 2000円程度で50回検査ができるようです。
オンライン診療について
新型コロナウイルス感染拡大に伴って、オンライン診療の規制が一時的に緩められており、初診でも薬が処方できるようになっています。
ただ、紹介状などがない限り、7日分しか処方ができない規則となっています。
実際には、1週間ごとに薬の変更を検討した方がよいことが多いため、あまり問題になることはないように感じています。
薬は自宅近くの薬局で受け取れるため、物理的な距離が問題にならないのはとても良い点です。
当院でも、全国の微熱の患者さんをオンライン診療で診察しています。