
2020/09/21更新
肺炎球菌・インフルエンザワクチンが新型コロナ感染の危険性(リスク)を減らす?
文責: 積山 慧美里
Individualizing risk prediction for positive COVID-19 testing: results from 11,672 patients.
Lara Jehi, et al. CHEST. 10 June 2020.
米国のクリーブランドクリニックより報告された論文です。
方法
クリーブランドクリニックで新型コロナウイルス(COVID-19)の検査がされた全患者を対象とし、個々のコロナウイルスの危険因子(リスク)について評価。
結果
7.0%(818人)がコロナウイルス陽性の11672人を対象とした探索的コホートと、290人がコロナウイルス陽性の2295人を対象とした妥当性検証コホートを作成。
新型コロナウイルス感染の危険因子(リスク)は
- 白人よりアジア人の方が低かった。
- 肺炎球菌ワクチン/インフルエンザワクチン接種者の方が低かった。
- 社会的地位が低い層の方が高かった。
- メラトニン・カルベジロール・パロキセチン内服者の方が低かった。
- ワクチン接種者でリスクが低い要因として、Toll様受容体(TLR7)経路の活性化(ウイルスの免疫を獲得するために必要な経路)が示唆されているが、その他ワクチン接種希望者(病気の予防意識が高い)という人種の偏りも考えられる。
- メラトニンやカルベジロールはACE2発現量を調整し、コロナウイルスの細胞内侵入を防ぐ可能性が示唆されている。
コメント
肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンは対象者は定期接種、その他の方は任意接種となっています。
接種者が必ずしも新型コロナウイルス感染を予防できるわけではないですが、混合感染(インフルエンザと新型コロナの両方にかかるなど)を防ぐためにも、ワクチン接種は可能な限り受けましょう。
オンライン診療について
新型コロナウイルス感染拡大に伴って、オンライン診療の規制が一時的に緩められており、初診でも薬が処方できるようになっています。
ただ、紹介状などがない限り、7日分しか処方ができない規則となっています。
実際には、1週間ごとに薬の変更を検討した方がよいことが多いため、あまり問題になることはないように感じています。
薬は自宅近くの薬局で受け取れるため、物理的な距離が問題にならないのはとても良い点です。
当院でも、全国の微熱の患者さんをオンライン診療で診察しています。