新型コロナ感染症・後遺症の記事

2020/09/22更新

新型コロナ後遺症疑い症例の頭痛

文責: 平畑 光一

新型コロナ後遺症(疑い)の患者さんでは、頭痛が高頻度に見られます。
当院での対処法は、大きく分けて

  • 漢方
  • 鎮痛剤(西洋医学の薬)
  • 生活療法

となります。


漢方

漢方のメリット

いわゆる鎮痛剤は、起きてしまった頭痛に対して表面的に抑え込む薬ですが、漢方はもう少し根元を治療することができます。
当院では、ベースで飲む漢方は別に飲んでいただきつつ、痛みが出てきた時に頓服で頭痛用の漢方を飲んでいただくのですが、続けているうちにだんだん頭痛が出にくくなることがよくあります。

漢方のデメリット

漢方のデメリットは、何と言っても「効きそうだと思って処方しても、外れて全然効かないことがある」という点です。
舌のむくみ具合、痛くなるタイミング、痛くなる場所、付随する症状などで総合的に効きそうな漢方をチョイスするのですが、なかなか百発百中とはいきません。
当院では、4つくらいの漢方を頻用していますが、一発で当たる確率は、半分を少し超えるくらいかもしれません。
したがって、痛みがひどい場合には、保険として鎮痛剤も一緒に処方することがあります。
ただし、新型コロナ後遺症(疑い)の患者さんは、そこまで激しい頭痛ではないことが多いため、鎮痛剤まで処方することはあまり多くありません。


鎮痛剤(西洋医学の薬)

鎮痛剤のメリット

鎮痛剤の良いところは、何と言ってもすぐ効くところです。
飲めばたいていはすぐにちゃんと効く、これが最大のメリットです。

鎮痛剤のデメリット

鎮痛剤のデメリットは、副作用で胃腸が荒れやすいこと、しょっちゅう飲むと「薬剤乱用頭痛(鎮痛剤のせいで頭痛になる状態)」の原因になることです。
特に、新型コロナ後遺症(疑い)の患者さんは胃腸症状(食欲不振、下痢など)を起こしやすいことがあるため、あまり積極的に飲んでほしい薬ではありません。

なお、「新型コロナに鎮痛剤は良くない」という話が一時ありましたが、あまり関係なさそうだという論文が出ているようです。
Adverse outcomes and mortality in users of non-steroidal anti-inflammatory drugs who tested positive for SARS-CoV-2: A Danish nationwide cohort study

新型コロナ後遺症(疑い)に関して言えば、鎮痛剤を使ったからといって何か悪くなるということはそれほどないという印象です。
なお、使う場合は胃腸障害が比較的少ない(けど効果も弱い)アセトアミノフェン(商品名:カロナール)から使い始めることが多いです。

その他の薬
  • 不眠が頭痛の原因の場合:不眠に効く、弱くてクセになりづらい薬を処方することがあります。
  • 肩こりが頭痛の原因の場合:筋肉をほぐす薬を処方することがあります。

生活療法

  • スマホなどで頭を使いすぎている場合:スマホの使用時間制限をすることがあります。ブレインフォグ(頭に霧がかかったような感覚になること)の原因にもなりうると言われています。
  • 不眠を伴う場合:夜の入浴後はすべての画面を見るのを禁止することがあります。(眠れなくなるため)
  • カフェイン、ナッツ、チーズなどは片頭痛の原因となるため、それらを制限していただくことがあります。
  • 朝起きる時間が一定でないと、自律神経が乱れて頭痛の原因になりうるため、朝起きる時間を一定にしていただきます。
  • アルコールは厳禁です。アルコールを飲んでも大丈夫な病気は、ほぼありません。ただ、リスクがあっても飲まずにいられないという方は、少しずつ減らしていくお手伝いをしますので、おっしゃってください。

当院の新型コロナ後遺症(疑い)の頭痛の対処法を概説しました。
実際には、症状や状況に応じて、もう少しバリエーションがありますが、おおむねこのような対処となります。
基本は漢方+生活療法で、必要に応じて西洋医学の薬を追加していくイメージです。
後遺症(疑い)は「治療」というより「お付き合い」に近い感覚も必要になることがありますが、頭痛は治せてしまう事も多くあるため、よりきちんと「根元から治す」ことを意識した治療になります。