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2020/10/11更新

骨粗しょう症の薬の副作用

ビスホスホネート系薬剤関連顎骨壊死(BRONJ)

「BRONJ」は暗号のようなアルファベットの並びですが、「ビスフォスフォネート製剤を使用している患者が抜歯などの歯科治療により顎骨壊死を引き起こした状態」のことで、日本語では「ビスホスホネート系薬剤関連顎骨壊死」と言います。
下記は、BRONJが起きるしくみと対応について書かれた日本口腔外科学会の資料です。

顎骨壊死とは

「顎骨壊死」とは、あごの骨や細胞が部分的に死滅し、いわば骨が腐った状態になることです。
顎骨壊死が起きると、口の中に元から生息している細菌によって感染が起こり、

  • 顎の痛みや腫れ
  • 膿が出る

などの症状が出現します。
他の症状として

  • しびれ
  • 歯の揺れ
  • 顎の骨がむき出しになる
  • 抜歯した後の治りが悪くなる

などの症状があります。
なお少数ながら、耳の周りの骨にも壊死が起こることがあるようです(外耳道骨壊死と言います。)

ビスフォスフォネートは厄介な薬?

一度発症してしまうと手術が必要となったり、そうでなかったとしても一般の歯科医院では治療が難しく、治療期間も数か月以上かかることもざらにあるという非常に厄介な病気です。
つまり歯科的には、「ビスフォスフォネート製剤(以下BP製剤)」という系統の骨粗しょう症の薬は、ある意味取り扱いの難しい薬剤と言えます。
では「BP製剤は悪質な薬なのか」といえば、もちろんそんなことはありません。
「骨粗鬆症の治療」以外にも

  • 悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症
  • 多発性骨髄腫による骨病変、乳がん、前立腺がんなどの溶骨性骨転移

などに使用される、とても有用な薬です。

ビスフォスフォネート製剤(BP製剤)でBRONJが起きる仕組み

通常、破骨細胞という細胞が骨を吸収し、骨芽細胞という細胞が骨を作ることによって常に骨が新しい骨に入れ替わっていきます。
BP製剤は破骨細胞の働きを抑えることによって、骨の量を減らさないようにするのですが、骨の吸収が行われないということは、古い骨が残りがちになってしまうのです。

古い骨は血流の流れが悪く、ちょっとした刺激によって骨が壊死を起こしてしまいやすくなり、BRONJが起きやすくなるのです。

きちんと歯科に「飲んでいる薬」を伝えてください

BP製剤はとてもいい薬なのですが、歯に注意しながら使わなければいけない薬、というお話でした。
BP製剤に限らず、歯科にかかられる時は「自分の飲んでいる薬は歯と関係ないだろうから伝えなくても良いや」ではなく 「自分の飲んでいる薬の情報及び健康状態を歯科医師と共有し、ベストの治療を受けよう」
と考えていただければと思います。

ご心配なことがあったら、ぜひ私のオンライン診療もご検討ください。
ヒラハタクリニックで歯科治療ができるわけではないので、100%営業抜きでご相談に乗らせていただきます。