院長ブログ

2020/08/03更新

長期間続く微熱について

以前からおられた長期の微熱の患者さん

以前から、長期間の微熱を訴えてこられる患者さんは少数ながらおられました。
皆さん、膠原病、甲状腺、HIV、その他いろいろな検査を受けて異常なく、当院にたどり着かれた方々。
漢方を2,3か月飲んでいただくとたいていはあとぐされなく治ってしまって、何だったんだろうねとなっていました。

新型コロナウイルス感染拡大後に増えた微熱

 
しかし2020年3月からは、様子が違います。
長期間続く微熱の人が急激に増えました。
以前の人たちよりも多彩な症状をお持ちで、2,3か月治療しても、完治しません。
漢方も、通常量ではあまり効かず、量を増やさないと効かないことが多いです。
(逆に言うと、量を増やせば、日常生活に支障がないレベルまでは改善されることが多いです)


多彩な症状

比較的多い症状は下記の通りです。

  • 長引く微熱(断続的な場合含む)
  • 倦怠感
  • 疲れやすい
  • 胸の違和感
  • 喘息様の症状
  • のどの違和感
  • 食欲不振
  • 腹痛
  • 関節痛
  • 頭に血が上る感じ、ほてる感じ
  • 悪寒
  • 皮疹

多いパターン

  • 胃腸症状がなく、微熱と倦怠感が中心のパターン
  • 食欲不振・胃腸障害、微熱が中心のパターン

当院を受診される患者さんは、大きく上記2つのパターンに分かれるように感じています。
それぞれ治療の中心となる漢方が違い、2つめのパターンの場合は、水と胃腸に気を配った漢方が効くことが多いようです。


関節痛(特に下半身)

上記に加えて、下半身に痛みが出やすい患者さんも時々おられます。
その場合は、血虚向けの薬で下半身の痛みによく使われる漢方を頓用で使っていただくと良いことが多いようです。
ただし、潜在的に胃腸にダメージがある方が多いようで、地黄が入った漢方を常用するときついことが多いです。
(屯用ならたいてい大丈夫なようです)

咳・喘息様の症状

風邪などを契機に喘息になってしまう方は以前から多いのですが、今回も一定数おられるようです。
喘息や咳によく使う漢方を屯用していただくと改善されることが多いようです。
必要に応じて西洋医学の薬(ステロイド吸入やモンテルカストなど)も用います。
当院は西洋医学の薬も積極的に使います。

頭に血が上る感じ、ほてる感じ

血虚・気虚向けの漢方で、巡りをよくする漢方を屯用すると改善することが多いようです。

悪寒

感冒でよく使われる漢方を、体力に応じて屯用で使っていただくと楽になることが多いようです。

逆流性食道炎

自粛生活で、体重が増えたり飲酒量が増えたりしていると、逆流性食道炎がおきやすくなります。
逆流性食道炎では、

  • 動悸感(脈をみると普通)
  • 胸の苦しさ
  • 胸の痛み
  • のどの違和感・痛み

などが起きるため、紛らわしいことがあります。
微熱に合併することもあるのでさらに難しいのですが、胃酸を抑える薬、胃の動きをよくする薬などを用いると改善します。
ただ、薬を飲み始めてから、改善が始まるまで2週間ほどかかることがあるため、少し根気が必要です。


推奨検査

微熱を起こす他の病気を否定しておく方が良いため、下記検査をお勧めします。

  • 一般的な検査
    • 白血球数、CRPなど
    • 肝腎機能検査
  • 甲状腺機能の血液検査
  • 膠原病の検査
  • レントゲンなどの呼吸器の検査
  • (必要に応じて)心電図

その他、症状に応じて検査を受けておくことをお勧めします。
PCR検査・抗体検査についてはこちら


改善するときのパターン

いきなりよくなるということはあまりなく、たいていは症状の波の間が広くなり、症状がマシになって、徐々に改善していくことが多いです。
日常生活に問題がないレベルになったら、第一段階クリア。
あまり症状が気にならなくなれば第二段階クリアです。


治るまでの期間

「いったん症状がなくなる」人はそれなりにいらっしゃいますが、1か月後にぶり返すこともあるため、どの時点で「治った」と言えるのかがはっきりしないことが多いです。


オンライン診療について

新型コロナウイルス感染拡大に伴って、オンライン診療の規制が一時的に緩められており、初診でも薬が処方できるようになっています。
ただ、紹介状などがない限り、7日分しか処方ができない規則となっています。
実際には、1週間ごとに薬の変更を検討した方がよいことが多いため、あまり問題になることはないように感じています。
薬は自宅近くの薬局で受け取れるため、物理的な距離が問題にならないのはとても良い点です。

当院でも、関西、中部地方の微熱の患者さんをオンライン診療で診察しています。
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