院長ブログ

2020/08/28更新

生理痛・PMS(月経前症候群)などの漢方薬

生理痛・PMS(月経前症候群)などの漢方薬

生理中の腹痛、生理前のイライラや眠気など、生理にまつわる不調はとても多くみられます。
本来の正常な生理は、痛みや違和感などは全くない状態です。

生理にまつわる不調は、子宮内膜症や子宮腺筋症などの病気が原因のこともあるので、症状が重い場合はすぐに婦人科を受診しましょう。
病気ではないけれど、生理周期に伴い不調が現れるという方には、漢方薬がおススメです。

よくみられる症状

精神神経症状

  • 情緒不安定
  • イライラ
  • 抑うつ
  • 不安
  • 眠気
  • 集中力の低下
  • 睡眠障害

身体症状

  • 腹痛
  • 頭痛
  • 腰痛
  • むくみ
  • お腹の張り
  • 乳房の張り
  • 食欲不振・過食
  • めまい
  • 倦怠感

西洋医学との比較

西洋医学では、生理に随伴して起こる生理中の病的症状を「月経困難症」、生理前の症状を「PMS(月経前症候群)」と言いますが、
東洋医学では、「月経困難症」や「PMS」、さらには「更年期症状」をも含んで 『血の道症』 と呼びます。
血の道症という言葉の通り、生理にまつわる不調は何といっても血の問題になります。

用いる漢方薬

漢方薬は、この症状にはこの漢方薬という選び方をするのではなく、症状の原因となっている体質を探り、その体質を改善する漢方薬を選択していきます。

たとえば生理痛という一つの症状でも、原因(体質)はいくつも考えられます。

多くみられるパターン

血の巡りが悪いパターン(オ血体質)

経血に塊が混じったり、生理痛が強い方に多くみられます。
漢方薬は、血を巡らせる作用や、滞った血を取り除く作用がある桂枝茯苓丸が効果的。
オ血がひどい時は、作用の強い桃核承気湯を用いることも。

気血水が不足して血の巡りが悪いパターン(気虚・血虚・陰虚によるオ血体質)

経血量が少ない、肌が乾燥しやすい、疲れやすい方に多くみられます。
漢方薬は、血を巡らせる作用があり、血や水を補う作用が強い四物湯、さらに気も補う十全大補湯が効果的。

血と共に、水の巡りも悪いパターン(オ血・水滞体質)

むくみも生じやすい方に多くみられます。
漢方薬は、血を巡らせる作用や、水分バランスを調える作用がある当帰芍薬散や疎経活血湯が効果的。

冷えがあり血の巡りが悪いパターン(オ血・陽虚体質)

温めると生理痛が和らぐ方に多くみられます。
漢方薬は、冷えをとりながら血を巡らせる作用がある当帰四逆加呉茱萸生姜湯や温経湯が効果的。


漢方薬は状態に適したものを選択することが大切です。
当院では症状の改善と体質改善に最適な漢方薬を探しつつ、必要な時は西洋薬も処方して最善の治療を行います。
お悩みの症状がある方はお気軽にご利用ください。