院長ブログ

2020/08/28更新

便秘の薬について

毎日排便がなくてもOK

「毎日排便がなければ便秘」と思ってらっしゃる方も多いのですが、実は毎日出なくても、2日に1度出ていて、お腹の張りや苦しさなどがな異様な場合には便秘とは言いませんし、心配ありません。
週に2回くらいの排便になってくると、症状がきついことも多く、対処が必要になることが多いです。

便秘に効く食べ物

薬を使う前に、食べ物などを試してみるのも良いと思います。

  • キウイフルーツ
  • プルーン
  • ヨーグルト

等がオススメです。
意外に玄米などは食物繊維の中でも非水溶性食物繊維が多く、症状が悪化してしまうこともあるので注意が必要です。

便秘の生活習慣

食べ物以外にも、水分が足りなかったり、筋肉が足りなかったり、運動不足だったりすると便が出にくくなることも多いので、注意してください。

排便時の姿勢

お通じを出す時、ただ座るだけだと腹圧がかかりにくく、出にくくなります。
腹圧を効率よくかけるには、座った状態で踵をあげ、前傾姿勢になると良いです。
ロダンの考える人のように座って、つま先立ちになる感じですね。
直腸の角度もストレートになって、便が通過しやすいということになっています。 つま先立ちが辛い場合は、足台を置いてしまうのも有効です。

市販の便秘薬の常用に注意

センナやピコスルファートなどの刺激性の下剤は、すぐ効くので人気が高いですが、常用していると大腸の壁が黒くなり(「大腸メラノーシス」でググってみて下さい)、薬が効きづらくなります。
市販の便秘薬は、この「刺激性の下剤」が多いので、あまり使わないようにしてください。
週に1回くらいならあまり心配ないかとは思います。

なお、「大腸メラノーシス」になっても、3か月くらい刺激性の下剤を飲まなければ、3か月くらいでもとの色に戻ると言われています。

お通じが固い便秘には酸化マグネシウム

お通じがころころした、兎の糞のようになっている場合は水分量が少ない証拠。
酸化マグネシウムで水分を便に引き寄せ、柔らかくすると良いです。
酸化マグネシウムはとにかく安い。
量にもよりますが、3割負担だと1日数円だと思います。

注意点は、飲み過ぎによる高マグネシウム血症。
特にお年寄りの場合は少ない量でも高マグネシウム血症になることがあるため、注意が必要です。

痔もあるときは乙字湯

痔もあるときには乙字湯という薬が、比較的即効性もありつつ、痔にも便秘にも効き、癖にもなりづらいので使いやすいです。

しぶとい便秘にはアミティーザ(+酸化マグネシウム)

かなり難敵な便秘の場合でも、アミティーザ(それでもだめなら酸化マグネシウム追加)を使うと、よく効くことが多いです。
この薬の面白いところは、1年くらい使うと便秘が治ることがあるところです。
以前、当院でアミティーザの治験に参加していたのですが、1年の治験後、便秘ではなくなったという方が何人もいて驚きました。
排便習慣がしっかりできたからなのか、特別な薬効があるのか分かりませんが、非常に面白いなと思った思い出があります。

LDL(悪玉)コレステロールが高めの人にはグーフィスがちょっとだけいいかも?

グーフィスという薬は水分分泌と蠕動運動促進の作用があり、癖にもならないと言われているので使いやすいかもしれません。
1日1回食前。
(食前でないと効果が落ちる可能性があるようです)
2割の人が筋肉痛のような軽い腹痛を感じるとのことですが、1週間で収まるとのこと。
ほんのちょっとだけLDL(悪玉)コレステロールが下がるかもという話ですが、有意差はないようなので、まぁ与太話的なおまけ効能というところでしょうか…。

痛い、張る、残便感がある人にはリンゼス

リンゼスは、新しい便秘薬の中で比較的人気が高い気がする便秘薬です。
便秘に伴う不快感が強い人にいいと言われています。
体に吸収されず、相互作用も考えなくてよく、高齢者でも使いやすいです。

薬を飲ませづらい人にはモビコール

認知症気味の方など、薬を飲ませづらい場合に、最近よく出すようになったのがモビコールです。
溶かすタイプの薬で、すこーししょっぱい。
認知症気味だったりすると、薬を飲んでもらうのも一苦労となりがちですが、アクエリアスなどに溶かすと気付かれずに飲んでもらいやすいです。
他の薬との相互作用もなく、2歳から飲める安全性も◎。


上記以外にもいろいろ薬(特に漢方はいろいろありすぎて諦めました)がありますが、思いついたものだけ掲載してみました。
便秘にもいろいろあり、他の疾患との兼ね合いを考える必要があるときもありますので、便秘薬が欲しいなと思った時は、信頼できる医師に相談するようにしてください。
何も言わずにセンナ系やピコスルファートを出されたら、便秘だけ違う医師に薬を出してもらうことを考えてもいいかもしれません。