
2020/05/18更新
【新型コロナの予防】有症状者が周囲にいない環境でも注意が必要
文責: 積山 慧美里
Temporal dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID-19
Xi He et al. Nature Medicine volume 26, pages672–675(2020)
https://www.nature.com/articles/s41591-020-0869-5
COVID-19感染患者の他者への感染性について報告した中国の論文です。
####要約 対象
- 中国広州市第八人民院に入院したCOVID-19確定患者94人
- アジア国(中国含む)で公表されたCOVID-19確定初代感染患者とそれらを由来とした2次感染患者を組み合わせた77組
結果
- 発症から32日目まで繰り返し施行したPCR検査では、ウイルス量は発症直後が最も多く、21日後にかけて徐々に減少した
- 初代感染患者発症後から2次感染患者発症までの期間は平均5.8日、中央値5.2日であった
- これまでの報告で潜伏期間は平均5.2日とされていることから、感染性は症状発症の2-3日前から認め、発症前0.7日が最も高いと推定された
- 2次感染患者の44%が発症前の初代感染患者から感染したと推測された
####コメント 新型コロナウイルス感染患者が発症する2-3日前まで遡って、接触者を調査・追跡する必要性が示唆されました。 この結果をふまえると、有症状者が周囲にいない環境でも、標準感染対策は(手指衛生やマスク着用など)当面の間徹底するのが妥当です。
オンライン診療について
新型コロナウイルス感染拡大に伴って、オンライン診療の規制が一時的に緩められており、初診でも薬が処方できるようになっています。
ただ、紹介状などがない限り、7日分しか処方ができない規則となっています。
実際には、1週間ごとに薬の変更を検討した方がよいことが多いため、あまり問題になることはないように感じています。
薬は自宅近くの薬局で受け取れるため、物理的な距離が問題にならないのはとても良い点です。
当院でも、全国の微熱の患者さんをオンライン診療で診察しています。