
新型コロナウイルス感染症 COVID-19診療の手引き 第2版公開
文責: 平畑 光一
####論文 新型コロナウイルス感染症 COVID-19診療の手引き 第2版 https://www.mhlw.go.jp/content/000631552.pdf
第一版が出た後のエビデンスに基づいて、手引きが改訂されました。
軽症の方や微熱が続く方が気になるかもしれない部分をまとめます。
香港の研究者がまとめたデータ、メタアナリシスの結果をまとめた論文です。
####検査
重症化のマーカーとして有用「かもしれない」項目が明記されました。
「下記検査で異常が出たら絶対に重症化する」ということでは決してありませんので、注意してください。
状態が悪いときに、これらをみて総合的に判断する、ということになります。
例えば、「長期間37.0度前後の微熱が続いている」+「下記の検査値で少し異常がある」=必ず重症化する などということは、経験上ほぼありません。
一時的に白血球やリンパ球、AST、CK、LDHなどの異常がみられることは、日常診療ではありふれたことです。
- 白血球
- リンパ球
- プロトロンビン時間
- Dダイマー
- AST
- クレアチニン
- CK
- LDH
- プロカルシトニン
####接触者相談センター等にご相談いただく目安・帰国者
どういうときに相談したらいいかの目安は下記の通りです。
(下記の目安を満たさなくても相談はできますが、「不安だから」という理由では検査は受けられませんし、する意味もありません。)
- 息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
- 重症化しやすい方(*)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
(*)高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)等の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方
- 上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合
(症状が4日以上続く場合は必ずご相談ください。症状には個人差がありますので、強い症状と思う場合にはすぐに相談してください。解熱剤などを飲み続けなければならない方も同様です。)
####軽症患者について 軽症患者については、下記のように記載されています。
- 経過観察のみで自然に軽快することが多い。
- 発症2週目までに急速に病状が進行することがある。 病状の悪化はほとんどの場合、低酸素血症の進行として表れる
- リスク因子がある場合、入院とする
意外に咳がない、消化器症状だけの患者さんも多いようです。
日本では消化器症状の患者は少ないとされていますが、実は把握されていないだけなのかもしれません。
当院でもオンライン診療を用いて、長引く軽症の消化器症状の患者さんに対して漢方薬・西洋医学の薬の処方、生活療法指導を行っています。
####中等症以上への進行を示唆するバイタルサイン
新型コロナウイルスに感染した軽症の成人の場合、下記が持続する場合は早急に医療機関を受診する必要があります。
- 呼吸数:毎分30回以上
- 脈拍:毎分130回以上
- SpO2: 96%未満
オンライン診療について
新型コロナウイルス感染拡大に伴って、オンライン診療の規制が一時的に緩められており、初診でも薬が処方できるようになっています。
ただ、紹介状などがない限り、7日分しか処方ができない規則となっています。
実際には、1週間ごとに薬の変更を検討した方がよいことが多いため、あまり問題になることはないように感じています。
薬は自宅近くの薬局で受け取れるため、物理的な距離が問題にならないのはとても良い点です。
当院でも、全国の微熱の患者さんをオンライン診療で診察しています。