新型コロナ後遺症と漢方
新型コロナ後遺症と漢方
よく「何の漢方が効きますか」と聞かれますが、人によって全く違うので、お答えすることができません。
当院では、その方の症状と舌の所見に合わせて、数十種類の漢方の中から1~2つを選んで処方しています。
保険適応ですので、安心してご利用ください。
ここでは当院で良く処方する漢方をいくつかご紹介します。
平畑個人の意見ですので、漢方が専門の先生からすると変なことを言っているかもしれません。
また、診療ノウハウそのものなので、本当は隠しておきたいのですが、患者さんがあまりにも多いため、他の先生方にも診ていただきやすいように単純化して一部を公開してしまいます。
当院で私以外の先生にかかる方は、ここを参考に、漢方をリクエストしていただいても構いません。
なお、ここを見て買い占めに走るようなことは決してしないでください。
水毒
水毒の方(舌がむくんでいる方)は比較的多いです。
- 五苓散:代表的な水毒向けの漢方です。頭痛やめまいなどにも効くことがよく知られていますが、新型コロナ後遺症の微熱にも効いたりするので驚かされます。割と冷えるので、冷えがある人は注意。
- 真武湯:足が冷える水毒の方向けによく処方します。五苓散と組み合わせて出すこともあります。
- 茯苓飲合半夏厚朴湯:のどか胸につまる感じがあり、水毒があるときに用います。新型コロナ後遺症では胃食道逆流症(GERD)の合併が非常に多いので、処方頻度はそれなりに多いです。
気血両虚
新型コロナ後遺症の方は当然ながら元気がないことが多く、気血両虚向けの漢方が効くこともよくあります。
- 十全大補湯:副作用も少なく、頻用しています。極端に消化器系の調子が悪いと合わないことがあります。
- 人参養栄湯:病期が長期になって、十全大補湯が合う人よりもさらに弱っている方に効く印象です。
お血
血の巡りが悪くなっている(お血)方もよくおられます。
- 桂枝茯苓丸:よく効きますが、冷えるので元気な方向けです。
- 加味逍遥散:気持ちや不眠の症状がある女性に効くことがよくあります。保険的に男性には処方できません。
- 当帰芍薬散:冷えにもむくみにも効くのでよく使います。以前から嗅覚障害や月経不順などに対して有効と言われていますが、これらは新型コロナ後遺症に多い症状でもあり、頻用しています。
頭痛
新型コロナ後遺症の頭痛は、鎮痛剤よりも漢方の方がよく効くことが多いようです。
- 五苓散:水毒が強いときは五苓散だけでよくなることも多いです。低気圧で頭が痛くなる方にも頻用されています。
- 七物降下湯:首から上の熱い感じを伴う頭痛があるときに用いています。
- 釣藤散:「頭が詰まった感じ」がする場合や、高血圧を伴うとき、後頚部の痛みでよく使われます。(後頭部以外の痛みで効くこともよくあります。)
- 呉茱萸湯:偏頭痛の代表的な漢方です。上記以外の時に使います。(ちなみに、頭痛の80%は偏頭痛といわれています。)
体の痛み
- 桂枝加朮附湯:関節痛や神経痛に広く使われている漢方で、これが効くこともよくあります。
- 疎経活血湯:腰から下の痛みがあるときに用いています。胃が痛くなりやすいので注意。
食欲不振
- 六君子湯:「とりあえず六君子湯」でもよく効くので助かっています。お湯に溶かしてちびちび飲まないと効果がかなり弱くなる点に注意。
- 四君子湯:六君子湯でもきつい、というような弱った方によく使います。
食欲不振が重い場合、六君子湯+四君子湯で処方することもよくあります。
漢方の飲み方
- 「~湯」は、お湯に溶かしてちびちび飲むと効きが良いことも多いです
- お子さんや粉が苦手な方は、服薬用のゼリーの利用を考慮してください。薬局等で購入可能です。
オンライン診療について
新型コロナウイルス感染拡大に伴って、オンライン診療の規制が一時的に緩められており、初診でも薬が処方できるようになっています。
ただ、紹介状などがない限り、7日分しか処方ができない規則となっています。
実際には、1週間ごとに薬の変更を検討した方がよいことが多いため、あまり問題になることはないように感じています。
薬は自宅近くの薬局で受け取れるため、物理的な距離が問題にならないのはとても良い点です。
当院でも、全国の微熱の患者さんをオンライン診療で診察しています。