新型コロナ感染症・後遺症の記事

2020/12/28更新

新型コロナ後遺症の症状

新型コロナ後遺症の症状

新型コロナ後遺症(疑い)の当院の統計(2021年5月2日時点)

症状名有症状率
倦怠感93.4%
気分の落ち込み87.1%
思考力の低下83.1%
頭痛81.0%
息苦しさ77.6%
身体の痛み75.5%
動悸72.0%
不眠72.9%
食欲不振64.3%
発熱55.9%
脱毛50.2%
嗅覚障害50.5%
味覚障害44.5%
44.3%

倦怠感

当院の新型コロナ後遺症患者さんの訴えで、一番多いのが「だるさ」「倦怠感」です。
当院の統計では、1476人の患者さんのうち、93.4%の方が倦怠感を自覚されています。

最も怖いのはPEM(Post-exertional malaise)

PEMとは

軽い労作後や、ストレスのあと、6時間~48時間後に急激に強い倦怠感が出てしまう、という症状。

典型的な症状

近所への買い物や、パートナーとの喧嘩などの後、直後は大丈夫なのに、その数時間後または翌日になってから、急激にだるくなる、などが典型的。
(毎回PEMが出るわけではなく、直後に出る時もあるのが普通です。)

紛らわしいがPEMではない症状

  • 毎日夕方になるとだるい
  • 仕事などで体を動かした後、直後からずっとだるさが続く
  • 1日ハードに働いた後、翌日にだるくなる

などはPEMではありません。

PEMがある場合

  • 症状が多彩
  • より慎重に「だるくなることをしない」ことを徹底することが必要

頑張って動いたあとに数日間寝込んでしまうことを「クラッシュ」と言いますが、クラッシュを起こすとできることが減ってしまい、寝たきりに近づいてしまうことがあります。クラッシュをできるだけ起こさないように生活することが、治療上、最も大切です。

クラッシュについて
  • クラッシュの定義は難しいですが、鉛を背負ったような、尋常ではない倦怠感がでたらクラッシュを疑います
  • 強いだるさが出たら、「その前にかかった負荷は現時点では大きすぎた」と考えて、負荷を軽減または分散するようにしてください
  • 「1回でやるとだるくなるが、休憩を入れて2回に分ければ大丈夫」「2日続けてやらなければ大丈夫」といったことはよくあります
  • クラッシュが起きない状態を一定期間続けると、すこしずつできることが増えます
    • 「一定期間」は罹患期間によって変わります。
      • コロナ後遺症ではかかってからの期間が比較的短い方が多いため、「2週間」程度と考えていただいて大丈夫なことが多い
      • 1年以上かかっている場合は「1か月」
      • 数年かかっているME/CFS患者さんでは「数か月~半年」と考えていただくのが良さそうです
  • 「1回クラッシュしたら取り返しがつかない」といったことはありません

PEMがない場合

  • 調子が良くなった後であれば、少しずつ様子を見ながら、BCAAをとりながらであれば室内での軽いストレッチなどは可能なことが多い
  • 適切な治療で数か月以内にかなり改善することも多い
  • 強い運動は禁止
  • だるくなることを続けているとPEMが出てきてしまって増悪することがよくある

その他の症状

  • めまい
  • 無月経、月経不順
  • 睾丸の痛み、勃起不全(ED)

新型コロナ後遺症では、その他にも多様な症状が見られます。
下記論文では、新型コロナ後遺症の症状として、205種類の症状を挙げています。
Characterizing Long COVID in an International Cohort: 7 Months of Symptoms and Their Impact


症状は出たり消えたりする

新型コロナ後遺症の症状は出たり消えたりするので、「もぐらたたき」と形容されます。