
新型コロナ後遺症の症状
新型コロナ後遺症の症状
新型コロナ後遺症(疑い)の当院の統計(2021年5月2日時点)
症状名 | 有症状率 |
---|---|
倦怠感 | 93.4% |
気分の落ち込み | 87.1% |
思考力の低下 | 83.1% |
頭痛 | 81.0% |
息苦しさ | 77.6% |
身体の痛み | 75.5% |
動悸 | 72.0% |
不眠 | 72.9% |
食欲不振 | 64.3% |
発熱 | 55.9% |
脱毛 | 50.2% |
嗅覚障害 | 50.5% |
味覚障害 | 44.5% |
咳 | 44.3% |
倦怠感
当院の新型コロナ後遺症患者さんの訴えで、一番多いのが「だるさ」「倦怠感」です。
当院の統計では、1476人の患者さんのうち、93.4%の方が倦怠感を自覚されています。
最も怖いのはPEM(Post-exertional malaise)
PEMとは
軽い労作後や、ストレスのあと、6時間~48時間後に急激に強い倦怠感が出てしまう、という症状。
典型的な症状
近所への買い物や、パートナーとの喧嘩などの後、直後は大丈夫なのに、その数時間後または翌日になってから、急激にだるくなる、などが典型的。
(毎回PEMが出るわけではなく、直後に出る時もあるのが普通です。)
紛らわしいがPEMではない症状
- 毎日夕方になるとだるい
- 仕事などで体を動かした後、直後からずっとだるさが続く
- 1日ハードに働いた後、翌日にだるくなる
などはPEMではありません。
PEMがある場合
- 症状が多彩
- より慎重に「だるくなることをしない」ことを徹底することが必要
頑張って動いたあとに数日間寝込んでしまうことを「クラッシュ」と言いますが、クラッシュを起こすとできることが減ってしまい、寝たきりに近づいてしまうことがあります。クラッシュをできるだけ起こさないように生活することが、治療上、最も大切です。
クラッシュについて
- クラッシュの定義は難しいですが、鉛を背負ったような、尋常ではない倦怠感がでたらクラッシュを疑います
- 強いだるさが出たら、「その前にかかった負荷は現時点では大きすぎた」と考えて、負荷を軽減または分散するようにしてください
- 「1回でやるとだるくなるが、休憩を入れて2回に分ければ大丈夫」「2日続けてやらなければ大丈夫」といったことはよくあります
- クラッシュが起きない状態を一定期間続けると、すこしずつできることが増えます
- 「一定期間」は罹患期間によって変わります。
- コロナ後遺症ではかかってからの期間が比較的短い方が多いため、「2週間」程度と考えていただいて大丈夫なことが多い
- 1年以上かかっている場合は「1か月」
- 数年かかっているME/CFS患者さんでは「数か月~半年」と考えていただくのが良さそうです
- 「一定期間」は罹患期間によって変わります。
- 「1回クラッシュしたら取り返しがつかない」といったことはありません
PEMがない場合
- 調子が良くなった後であれば、少しずつ様子を見ながら、BCAAをとりながらであれば室内での軽いストレッチなどは可能なことが多い
- 適切な治療で数か月以内にかなり改善することも多い
- 強い運動は禁止
- だるくなることを続けているとPEMが出てきてしまって増悪することがよくある
その他の症状
- めまい
- 無月経、月経不順
- 睾丸の痛み、勃起不全(ED)
新型コロナ後遺症では、その他にも多様な症状が見られます。
下記論文では、新型コロナ後遺症の症状として、205種類の症状を挙げています。
Characterizing Long COVID in an International Cohort: 7 Months of Symptoms and Their Impact
症状は出たり消えたりする
新型コロナ後遺症の症状は出たり消えたりするので、「もぐらたたき」と形容されます。
オンライン診療について
新型コロナウイルス感染拡大に伴って、オンライン診療の規制が一時的に緩められており、初診でも薬が処方できるようになっています。
ただ、紹介状などがない限り、7日分しか処方ができない規則となっています。
実際には、1週間ごとに薬の変更を検討した方がよいことが多いため、あまり問題になることはないように感じています。
薬は自宅近くの薬局で受け取れるため、物理的な距離が問題にならないのはとても良い点です。
当院でも、全国の微熱の患者さんをオンライン診療で診察しています。