膵臓の「未病」について

2020/08/03更新

どう活かすか 結果的に元気で長生きできる

膵臓が弱いだけなのに、
「自分はいずれ慢性膵炎になって、膵癌になって、長く生きられないに違いない」
と根拠のない「疑念(ひどい場合は確信)」を持っている方もいらっしゃいます。

まったく無駄な労力です。
膵臓が弱い方は健康的な生活(特に食生活面)になることが多く、実際には、様々な生活習慣病(脂質異常症、糖尿病、高血圧、高尿酸血症など)に罹患することが極端に少なく、結果的に心筋梗塞、脳梗塞、脳出血などを罹患する可能性が、一般の方々に比べてかなり低くなる印象です。
さらに、不摂生をしないためか、がんになる方もずいぶん少ない印象です。

結果的には、日本人の死亡原因の上位を占める疾患のほとんどのリスクが下がってしまいますから、元気で長生きする方ばかりです。
強制的に健康的な生活をさせられることによって、かえって健康寿命が延びるのです。
ある意味では「選ばれた方々」とも言えると思いますし、そのくらいの気持ちでいた方が良いと思っています。

お酒さえ飲まなければ、膵臓の状態がどんどん悪くなっていく人はほとんどいないように思いますので、「自分の膵臓は悪化の一途をたどるのではないか」というのは、ほとんどの場合、ただの杞憂です。
むしろ、その不安に伴うストレスが、膵臓の痛みの原因になってしまうことが多いので、余計なことで悩まないようにした方が良いのに、と思います。

痛みや違和感がそれほど強くないのであれば、「それはそれとして」横に置いておいて、自分のしたいこと、しなければいけないことに集中して動いた方が良いように思います。
その方が結果的に、膵臓の痛みを減らすことにつながることも多いです。
何もしないでいると、どうしても「膵臓の症状」に意識がいってしまって、症状を何度も何度も確かめることによって、症状が固定してしまい、より強めてしまうことにつながります。
「症状があるおかげで無理をしないで済んでいる、ありがたいな」くらいに捉えられるようになるとベスト。

もちろん、症状が強くて辛いときに「ポジティブにとらえる『べき』」等と考えてはいけません。
辛いときは、そのように考えられないのは当たり前。
「べき」などという言葉で自分の自然な感覚・感情を縛り付けるとろくなことがありません。
ただ、生活に支障がない程度の症状であれば、うまく利用してあげたら良い、ということです。