
2020/06/12更新
咳喘息について
咳喘息について
咳喘息とは、慢性的な咳(8週間以上持続)だけを症状とした、喘息の亜型です。 検査ではほぼ異常所見がなく、気管支拡張薬が有効な病気です。 慢性咳嗽の原因疾患として日本では最も多いとされている疾患で、特に成人女性によく見られます。
症状
- 慢性的な咳(8週間以上持続)
- 就寝時・夜間から早朝に悪化しやすい
- 季節性の症状変動をしばし認める
- 喀痰は通常少量のみ(多量に認める場合もある)
- 喘鳴(ぜーぜー)や呼吸困難(息苦しさ)は認めない
上記に当てはまる症状の経験がある人も多いのではないでしょうか。
症状が悪くなる原因
咳喘息が悪くなる原因(増悪因子)として、下記があげられています。
- 冷気
- 運動
- 喫煙
- 雨天
- 湿度上昇
- 花粉
- 感冒(風邪)
など
検査
咳嗽の様々な原因を除外するための検査を行います。
- 胸部画像検査
- X線(レントゲン)
- CT
- 呼吸機能検査
欧米では気道過敏性検査が重要とされていますが、日本では専門施設でしか施行できず、実際には他疾患を除外してから診断基準を元に診断します。
診断基準
- 喘鳴を伴わない咳嗽が8週間以上持続する(聴診上も喘鳴なし)
- 気管支拡張薬(β刺激薬またはテオフィリン製剤)が有効
*上記2つを満たす場合、確定診断となります。
治療
基本的には喘息と同様の治療を行います。
**第一選択(最初に使われる薬)は吸入ステロイド薬(ICS)**です。
効果不十分な場合、
- 吸入薬の増量(ICS増量やLABA併用)
- ロイコトリエン受容体拮抗薬・徐放性テオフィリン製剤
を併用します。
悪化時(感冒の時など)は一時的に経口ステロイド薬を使用する場合もあります。
治療の期間
治療開始後2-3か月毎に評価し、無症状ならば徐々に薬を減量していきます。約1-2年程度で治療中止を考慮することになっていますが、再発する可能性もあり、注意が必要です。
また、季節性が明らかな場合は、症状のでる時期のみ治療します。
予後
- 経過中に30-40%は喘鳴が出現し、典型的喘息に移行します。アレルギー体質の方では特に典型的喘息に移行しやすいとされています。
- 吸入ステロイド薬(ICS)を長期間使用することで典型喘息の移行を予防できるとの報告もあります。
- 正しい治療にて速やかに咳嗽は改善しますが、治療中止にてしばし再発します。しかし適切な治療期間が決まっていないため、個々に合わせた治療方針が必要です。
自己判断で薬をやめないことが大切
「症状がなくなったらすぐ薬をやめてしまう」という方もいらっしゃいますが、徐々に症状が重くなる方も少なくないため、しっかり治療を継続していただくことが大切です。
オンライン診療も上手に利用することも検討してください。